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運用会社との「信頼」が「長期投資」に繋がる その考え方の原点とは ファンドマネージャー 高橋 陽平

アクティブに挑戦し続ける当社の社員を紹介するマガジン「Be Active.」。
第七回は、外部委託運用プロダクトを担当するグローバルパートナー運用部に所属し、「ドナルド・スミス米国ディープバリュー株式ファンド」、「バロン・グローバル・フューチャー戦略ファンド」の立ち上げから携わる、高橋ファンドマネージャーをご紹介します。


「猪突猛進」、行動力で仲間を巻き込んでいく

自分で言うのも何なので、私の性格を身近な人たちに聞いたところ、即答で「猪突猛進」と言われました(笑)。確かに考えてから行動するというより、「とりあえずやってみて、そのあと考えればいいや!」というタイプだと思います。

まあ、よく言うなら「行動力がある人」、悪く言えば「無鉄砲」という感じです。“Be Active.”のスローガンに「その一歩で、未来は変えられる。」とありますけど、私自身は気づいた時にはいつも一歩踏み出している感覚かもしれません。

こういう性格は良い時もあれば仇となる時もあるのですが、3年前に「知られざる海外の魅力的な戦略を集めて、当社の外国株式ラインナップを最強にしたい!」と思い立ち、すぐに信頼できる仲間を集め動き始めたことは本当に良かったなと思います。

今では「日本の投資家の皆さまが未だ出会ったことのない、魅力的な運用への投資機会を提供する」という目標に多くの同僚が理解を示してくれています。


「俺はサラリーマンにはならない」と決意して過ごした学生時代

学生時代は、「今が楽しければそれでいい」と、サッカーと遊びに全精力を注いでいました。将来の夢とか、人生の目標とか、そういったものは全く持っておらず、授業は9割以上寝ていました。
好きな子が東京の大学を目指していたから「自分も上京したい!」と、ボロボロの結果だったセンター試験が終わってから勉強を始めました。

唯一合格した大学に入った後も、一人暮らしが楽しくて毎日夜遊びばかり。授業に対するスタンスは高校時代のままで、大学1年終了時点で単位が“9”と卒業見込みが出ないことが確定し、留年が濃厚となりました。
当時の私はなんとここで「俺はサラリーマンにはならない!」と見事なまでに開き直り、友人たちの助けのおかげで留年は回避したものの、就職活動は一切せず、卒業後の4月1日も何の疑いもなく夜勤のアルバイトをしていました。

就職した友達に、「バイトでも十分稼げるよ!」と自信満々に話していたのを覚えています。穴があったら頭から入りたいです・・・。私が親だったら、激怒していると思います。


「社会から必要とされている感覚」が自分を変えた

フリーター生活も1年が過ぎ、「そろそろ昼間働こうかな」と思い始め、25歳で初めて就職しました。ですが、3日で辞めてしまいました。すぐ次の会社に転職しましたが、また長く続かず・・・。そんな中、不動産ファンドを組成する会社に入社したことがきっかけとなり、今の仕事へと繋がることになりました。

3年10ヶ月で上場した勢いがあるベンチャー企業で、社長は大手証券会社出身、社員の皆さんは各々の業界で活躍されてきたエキスパートばかりでした。そんな環境の中、私は若さと体力とフットワークしかありませんでしたから、諸先輩方の背中を見ながら“何でも屋”として汗を流す日々でした。

私より若い新卒の方が入社してきて、彼らが第一線にでていくときには悔しさを感じたこともありましたが、目の前の仕事を一生懸命やっていると少しずつ周囲から頼られるようになり、「社会から必要とされている感覚」が嬉しくて仕方ありませんでした。
このお世話になった会社は当時証券投資ファンドの運用も行っていて、そのファンドの運用者の方と仲良くさせて頂く中で株式運用の世界に惹かれ、当社に入社しました。


業界未経験から掴んだチャンス

入社後の約9年間は、投信計理業務に従事しました。初めて自分のやりたい業界に飛び込むことができたことに喜びを感じました。ただ、入社当時は業界未経験の26歳ですから、最初の頃は皆さんにたくさんご迷惑をおかけしたと思います。

このミドルオフィスでの私のキャリアの後半は、外部委託ファンドに特化した役割が与えられていました。新しい委託先とファンドを立ち上げる際は、その海外運用会社との業務フロー構築を一から行うため、厳格なオペレーション遂行というよりはクリエイティブな仕事が多かったと思います。

やりがいを感じる中、多くのファンドアイデアを実現する上司を目の当たりにし「自分もファンドを生み出す仕事をしたい!」と考えるようになりました。そうした中、2016年に現在の所属部署であるグローバルパートナー運用部に異動することになりました。嬉しさはもちろんでしたが、掴んだチャンスを絶対に手放したくないという気持ちの方が強かったですね。


ミドルオフィスでの経験が今の自分を支えている

35歳でフロント未経験ですから、最初はやはり知識と経験不足を感じることが多かったです。でも、「運用サイドの経験はないけれど、知識は学んで補えばいい。これまでのミドルオフィスでの経験は必ず生かせるはずだ!」と信じていました。これは本当に間違っていなかったと思います。

今では、新ファンドのアイディア立案や海外の魅力的な運用者のリサーチ、そしてオペレーションやマーケティングなども含め、ファンドの立ち上げに広く関与しています。ファンドにとって必要不可欠であるミドルオフィスでの経験が、プロダクトデベロップメントを行う自分の今の仕事を支えてくれています。

スキーム構築、投資行動が基準価額に与える影響、各種数値へのリンクなど、ファンドビジネスに関わる全ての役割を俯瞰して見られることは私の強みだと思います。そして、ミドルオフィスの方々の力がないと成功しないという事を、いつも心の片隅に置いています。投信計理での9年間は本当に私の財産です。


運用会社との「信頼」が「長期投資」に繋がる

海外出張に行くと様々な点で日本との違いを感じますが、総じて日本は素晴らしい国だと感じます。ただ、資産運用に関しては、投資家と運用会社の関わり方にまだまだ努力すべき課題が多いと感じます。

例えば、私はビジネスパートナーであるニューヨークの運用会社が開催する年次カンファレンスに毎年出席しているのですが、このカンファレンスでは個人投資家、投資先企業、運用会社が一同に会します。個人投資家からの種々様々な質問に、投資先企業のCEOやファンド運用者が直接回答し「自分のお金がどのようなプロセスで、どんな企業に投資されているのか」を理解できる場を設けているのです。

このカンファレンスには、実に6,000人程の個人投資家が参加しています。このような機会の提供は運用会社から投資家への誠意であり、投資家からの「信頼」につながっているのです。「投資家からの信頼」があるからこそ運用会社は自身のスローガンである長期投資を実行でき、極めて良好なパフォーマンスも出し続けることができているのです。

「長期投資」と口で言うのは簡単です。でも、金融資産が大きく下落するような環境で、長期投資を貫くことは容易ではありません。
しかし、「市場は短期的には人気投票機だが、長期的には計量器として機能する」と、バリュー投資の父であるベンジャミン・グレアム氏が語ったように、真に素晴らしい企業に投資していれば長期投資こそが、成功の秘訣となるのです。

長期投資を促す税制優遇政策が取られても、運用会社に対する信頼無くしては本当の意味での長期投資は広がっていかないでしょう。ですから、私は魅力的なファンドラインナップを揃えることだけではなく、投資家の皆さまのより深い理解のために貢献したいと思っています。
ちょっと真面目すぎますかね?でも、遊びに没頭していた20代よりも今の方がずっと楽しいんです。

Be Active.


プロフィール

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
グローバルパートナー運用部 プリンシパル
高橋 陽平(たかはし ようへい)
2007年に大和住銀投信投資顧問(現三井住友DSアセットマネジメント)入社。投信計理を中心とした資産管理業務に携わった後、2016年以降は外部委託プロダクト関連業務に従事。現在は、海外の運用会社のリサーチと新規ビジネスの立ち上げ・運営に携わる。
優れた運用戦略を日本の投資家に届けるために、世界中の運用会社とリレーションの構築を行っている。

(2024年1月時点)


主な担当ファンド
・ドナルド・スミス米国ディープバリュー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)
https://www.smd-am.co.jp/fund/188802/
・ドナルド・スミス米国ディープバリュー株式ファンド Aコース(為替ヘッジあり)
https://www.smd-am.co.jp/fund/188702/
・バロン・グローバル・フューチャー戦略ファンド(資産成長型)
https://www.smd-am.co.jp/fund/186602/
・バロン・グローバル・フューチャー戦略ファンド(予想分配金提示型)
https://www.smd-am.co.jp/fund/186702/



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