投資信託を購入する際、交付目論見書に「実質的な運用は○○が行います」と記載されているのをご覧になったことがある方も多いと思います。日本に限ったことではありませんが、運用の業界では競争力のある運用を外部の運用会社に提供したり、逆に提供を受けたりすることが多々あります。運用会社なのに運用しないの？と思われる方もいらっしゃると思いますが、運用会社によって得意な資産や地域が異なるので、投資家に高いリターンを提供するために、外部の力を借りることもあります。
 
当社の運用部門には、世界中の運用会社の中から“キラリ”と光る運用を探し出し、粘り強い交渉によって日本に持ち込むスペシャリスト集団が存在します。今回の「ファンドマネージャーが行く！」では特別編として、グローバルパートナー運用部で海外の運用会社のリサーチを担当する高橋陽平の海外出張に密着します。

グローバルパートナー運用部の海外出張レポート

2週間の長旅を前に、JALカレーで気合を注入します。

まずは債券運用の有力候補をリサーチするためロサンゼルスへ

日本時間11月1日（火）夕刻に羽田を出発し、約9時間かけて現地時間午前中にロサンゼルスに到着。空港に隣接するホテルに荷物を預け、すぐに現地パサデナにある運用会社へ向かいミーティングを行います。今回の旅は東回りとなるため、羽田―ロサンゼルスで戻った時間はここから返済していく形になります。この運用会社は機関投資家向けグローバル債券戦略の有力候補で、戦略の詳細をヒアリングするとともに、当社側のビジネスプランを説明しました。
翌日は同じくロサンゼルスの別の運用会社とミーティングを行った後、すぐに飛行機でニューヨークへ。
 
ロサンゼルス国際空港到着。かなり温かかったです。

ロサンゼルス郊外に位置するパサデナ。リゾート地のような街並みでした。

ロサンゼルスのダウンタウンの様子。ビルとビルの間がとても広く、スケールの大きい街でした。
※車移動のため、ダウンタウンには行っていません。

ロサンゼルスでのミーティングを終え、ニューヨークに向かいます。

今回の出張のメインイベント、ニューヨークの成長株運用の巨匠のもとへ

11月3日（水）、前日にミーティングを行った運用会社のニューヨークオフィスでのミーティングを挟みつつ、今回の出張のメインイベントとして、「成長株＆長期投資の巨匠」率いる運用会社との最初のミーティングです。同社とは2021年夏からのやり取りを通じ、「日本の投資家に素晴らしい投資機会提供したい」という熱意を伝え、今年の4月にファンドの組成に至った非常に思い入れの強い会社です。
 
ニューヨークでの滞在は6泊と長かったので、当社のニューヨーク現地法人にも立ち寄り、たくさんのサポートをして頂きました。

ところで、今回の出張は足元のインフレと円安によって、とにかく物価の高さを痛感した旅となりました。
例えば・・・
 
HARIBOグミ1袋は$3.09＝約450円

クロワッサン1個は$2.89＝約420円

チーズバーガーは$10.00＝約1,460円

ポテトとミニハンバーグのプレート+ビール1杯で30$＝約4,400円

・・と、何もかもが高くてびっくりです。ただ、基本的に食べ残しは何でもテイクアウト可能なので、食べきれない分は持ち帰って翌日の朝食にしました。
※為替レートは出張当時のものです。

ニューヨークでインベスターカンファレンスに出席

現地時間の11月4日（木）は、前述の巨匠率いる運用会社が年に一度開催するインベスターカンファレンスに参加しました。カンファレンスは同社が投資家向けに開催するもので、今回はコロナ禍で3年ぶりの開催ということもあり、約5,000人が参加する大規模なイベントとなりました。同社が投資する企業のCEOらが講演するメインイベントでは、あの超有名EVメーカーのCEOが登壇するといったサプライズもあり、大変な盛り上がりを見せました。
 
カンファレンスのチェックインは6：30からのため、早朝のブロードウェイを歩きながら会場のあるリンカーンセンターに向かいます。（朝6：00とは思えない景色です。）

リンカーンセンターに到着。写真では良く見えませんが、既に参加者の長い列ができていました。

カンファレンス会場の様子

カンファレンス後のリンカーンセンターの様子

カンファレンスの様子に興味がある方はこちら↓（Youtubeへリンクします）

11月5日、6日の土日は翌週に備えて体力を回復させるため、あまり多くは外出しませんでしたが、エンパイア・ステートビルに上り、ニューヨークを一望しました。展望デッキは柵がありましたが、撮影する時に手を出せるようになっていました。携帯を落とさないように撮影するのに必死で、手汗がすごかったです。

その後週末を挟みつ、11月7日（月）、８日（火）の2日間ニューヨークの運用会社数社とミーティングを行いました。11月8日のミーティング終了後、すぐに次の目的地であるボストンへ向かい、深夜にボストンに到着。
 
ニューヨークでのミーティングでは、数多くの戦略についてプロジェクトマネージャーからヒアリングをすることができました。

訪問先のオフィスビルの前と、先方オフィスからの素晴らしい眺め。

インパクト投資で協力する運用会社の本社を訪問

11月9日（水）は、既に当社とインパクト投資の分野で協力する運用会社の本部を訪問しました。同社名物のモーニング・ミーティングに出席した後、既存ファンドの運用状況と体制の確認、および新ファンド候補である戦略のヒアリングを行いました。ESG投資の分野にはいち早く取り組んできた当社ですが、同社との協力により、日本国内でいち早くインパクト投資を日本の投資家に提供することができました。
 
ボストンは、スケールの大きいロサンゼルスや大都会のニューヨークとは異なり、比較的狭い範囲に収まっている落ち着いた雰囲気の町です。

ボストンの運用会社でのミーティング終了後の1枚。

ボストンではESGの株式運用を得意とする運用会社をもう一社訪問し、終わり次第そのまま最後の目的地ロンドンへ向かいます。5時間の時差を返済し、11月10日（木）早朝にロンドンに到着。
順調に進めてきたこの出張ですが、ロンドンでは鉄道ストライキの影響で市内の移動が思うようにいかず、ヒースロー空港からロンドン市内（パディントン駅）までは行けたものの、パディントン駅からホテルまではスーツケースを押しながら徒歩での移動となりました。急に寒くなった米国と違って、ロンドンは比較的暖かく、約4kmの道のりを汗だくになりながら向かいました。

機内の様子と、汗だくで歩いたハイド・パーク

最後の目的地ロンドンで株式戦略をリサーチ

ホテル到着後すぐに身支度を整え、早速ミーティングに向かいます。英国1発目のミーティングは、ボストンで訪問した運用会社のロンドン拠点に訪問し、ここで運用されている新興国株戦略や、インパクト計測のキーパーソンと面談を行いました。

そして最終日である11月11日（金）は、社員数十数名ながら質の高いクオリティ・バリュー株式戦略を有する行うロンドン郊外のブティック運用会社や、ロサンゼルスで訪問したハイイールド債券の運用会社の英国拠点を訪問し、全てのミーティングが無事に終えることができました。2週間の出張を通じて、日本の投資家に提供したいと思える新たな運用戦略と多数出会うことができました。

ライトアップが始まったロンドンの街並みと、バッキンガム宮殿

2日間のロンドンでのリサーチの後、現地時間の11月12日（土）にロンドンを出発、ヘルシンキ経由で日本時間13日（日）に帰国しました。ロシア上空を飛行できないため、ヘルシンキから羽田までは14時間もかかりました。

今回は新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの海外出張となりました。現在はビデオ会議が当たり前のインフラとなっていますが、やはり対面での面談は相手のパーソナリティや熱意をより強く感じることができると感じました。ロサンゼルスからニューヨーク、ボストン、ロンドンと飛び回り、10社近い運用会社と30回を超えるミーティングを行いましたが、大きな交通トラブルもなく、大変有意義な議論を行うことができました。いずれの都市でもマスクをしている方はほぼいませんでしたが、感染せずに帰ってこられたことはラッキーでした。
 
今回の「ファンドマネージャーが行く！」はいかがでしたか？
 
実質的な運用を外部に委託しているファンドというと、一見すると日本の運用会社は何もしていないように見えるかもしれません。しかし、当社の運用部門には、世界中の運用会社の中から優れた運用を見つけ出し、惚れこみ、日本の投資家に届けるために熱い思いを持って取り組んでいる人間がいたりします。
今主流の低コストで市場に連動するリターンを目指すインデックスファンドと比較すると、運用のコストは少々高いかもしれませんが、我々はコスト以上の付加価値を提供することを目指しています。
 
世界には、日本で未だ知られていない素晴らしいファンドマネージャーがたくさんいます。
自社の運用力を高めていくことももちろん大切ですが、運用会社として投資家にリターンを提供するために、幅広い選択肢をご提供できるよう努めて参ります。
 
次回の「ファンドマネージャーが行く！」も是非、ご期待下さい。