「これからの10年」で世界は必ず変わる、その考え方の原点とは ファンドマネージャー 青木 英之
アクティブに挑戦し続ける当社の社員を紹介するマガジン「Be Active.」。
第四回は、30年以上ファンドマネージャーを経験し、グローバル株式ファンドの運用に長年携わっている青木FMをご紹介します。
家族の影響で株式投資の世界の面白さを知る
実家はお世辞にも裕福とは言えなかったが、私が大学に進学した1980年代後半、バブル景気という時代の追い風もあり、日本株の株式投資を始めた父の影響を受け、11歳離れた兄が投資の勉強を始めました。そして私は兄が買ってきた一冊の本をたまたま目にすることになります。
ジョン・トレイン著 『The Money Masters』(邦題『ファンド・マネジャー』)という本です。 「こんな面白い世界があるのか」と、私の心はぐいぐいと引っ張られ、アナリストとして身を立てるのもいいかもしれないと漠然と考え始めるきっかけになりました。
そんな矢先、学生ボランティアとして参加していた交換留学生の事務所の大先輩が、日本で初めての独立系格付け会社を立ち上げたということを知ります。のちに経営破綻する日本のミシンメーカー、リッカー株式会社に対し、信用力に重大な問題があることを意味するCCCというレーティングをつけていたことも記憶に残る「三國事務所」。私はそこでアルバイトを始めました。格付けという点ではR&Iこそ存在はしていたが、当時の日本には同様のこと行う会社はなく、完全な独立系として存在していたのはこの事務所だけでした。ここでの経験が、私をアセットマネジメントの世界へと導くことになります。
多くの経済危機を経験し、乗り越えてきたからこその“「質実剛健型」投資哲学”
1990年代に経験した経済危機が今の投資のベースとなっています。
社会人になってすぐに不動産バブルの崩壊とその実態を見たこと、東西ドイツの統合で世界が大きく変化し、湾岸戦争、ソ連崩壊を経験、そして今の質実剛健型投資哲学が見えてきたのが1997年7月のタイバーツ危機に端を発したアジア全体を巻き込んだ経済危機でした。当時、前職の香港オフィスに駐在していましたが、アジア各国の通貨と株価の暴落の中で、どうしたらよいか苦悩する日々が続きましたね。週末の書店で偶然手にした「The Dividend Rich Investor: Building Wealth With High-Quality, Dividend-Paying Stocks」という本からヒントを得て、「質の高い連続増配株を、配当利回りで割安な時に買い、長期保有する」という現在の投資スタイル、へと大きく変化させたのがこの頃でした。
そしてその後に起こる2000年のITバブルの崩壊、リーマンショックなどなど。その大きな荒波の数々を乗り越えるたびにこの“「質実剛健」(質=クオリティ、実=配当利回り、剛健=景気に左右されない連続増配)型投資哲学”への確信度が高まっていきました。今の私が20年以上海外株式運用に携われているのは、この質実剛健型投資哲学を貫いてきたからだと思っていますし、海外株式へ長期に投資する際は最強だとも思っています(笑)。
散歩から読み取る時代の変化
海外時間に合わせた仕事も多いので、ちょっとホッとする休日は、運動不足解消と息抜きを兼ねて、現在住んでいる東池袋の周辺を散歩します。近所の大鳥神社に参拝し、おみくじを引いた後、雑司ヶ谷から、早稲田、神楽坂等々…昭和の街並みすら感じられる落ち着いた場所がお決まりの散歩コースとなっています。散歩中、道端に咲く四季折々の花の写真を撮ることに最近はハマっています。気に入ったものは、すぐにSNSに投稿するのですが、久しぶりに繋がった友人や元同僚から「無粋な君にそんな趣味があったのか」と一様に驚かれます(笑)
新入社員の頃に池袋の雑居ビルに飛び込み営業をしていたので懐かしくも感じられます。この地が株式運用の世界に足を踏み込み入れる第一歩になったのは間違いないです。また、消滅都市になるのではと噂された池袋が、大規模な再開発を行い、大きく姿を変えつつある様子を見ていると日本の将来を暗示している気もしますね。
次なる大変革のリーダーは新しい世代
当社のWebサイトを開くと、「Be Active. その一歩で、未来は変えられる。」という文字とともに、東京五輪で金メダルに輝いた堀米雄斗選手が載っています。同じく東京五輪では、スケートボード女子の四十住さくら選手、卓球の張本智和選手なども含め、多く10~20代、いわゆるZ世代が活躍しましたね。彼らはこぞって「最初から海外で活躍することを目標にしてきた」と口をそろえて言います。
これまでの日本人はどうだったか。振り返ると、我々世代はまず、「日本一」を目指していました。世界を目指すなんて夢のまた夢。日本一を手にした者のみが抱くことができる、特別な価値観だったように思います。しかし彼らは違う。最初から目指しているゴールが違う。Z世代にとって、日本一はあくまで通過点ですらなく、目指すのは海外でしかないのですね。
世代によって目指すゴールが違う。世代によって考えている世界が違う。
かつては無理だと思っていた世界も、時がその世界を手の届く位置に導いてくれることもある。
近代からの日本の歴史を考えると、江戸時代の終焉(1866〜)→日露戦争(1905)→敗戦(1945)→サンフランシスコ平和条約により主権回復(1951)→バブル崩壊(1991)と、ほぼ「40年サイクル」で国力の盛衰を繰り返してきました。これには色々な解釈があるでしょうが、やはり日本の国運が盛んになるときは、社会のリーダー層が大きく若返るという特徴があると思います。このサイクルだと次の「上昇期」は2031年頃となりますが、その際はグローバル社会における日本や日本人という意識が強い「Z世代」が日本社会の大変革の中心にいるのではないでしょうか。
今の若い世代の人たちがそれぞれのフィールドでリーダーシップを発揮する時、日本も世界も大きく変わっていると確信しています。「これからの10年」で世界は必ず変わるでしょう。運用対象で言うと、株式や不動産などのリスク性資産は「時代の先行性」を持つので、遠からぬ将来、「あたらしい日本」を意識した相場が始まるのではないかと思っています。
Be Active.
★主な担当ファンド
・グローバル好配当株オープン
https://www.smd-am.co.jp/fund/0847/
・グローバルGX関連株式ファンド
https://www.smd-am.co.jp/fund/184009/
・ワールド・リゾート関連株式ファンド
https://www.smd-am.co.jp/fund/167006/