「100年200年続く会社でありたい」社長が語る資産運用業界の未来
「日本の資産運用業界はここからだ」
今回は弊社の代表取締役社長兼CEOの猿田にインタビューしました!
グループ外出身の社長は珍しい?
――当社はSMBCグループの資産運用会社ですが、国内の金融グループに属する資産運用会社でグループ外出身の社長というのは珍しいことだと思います。まずはそれについてどのようにお考えでしょうか。
あまり意識はしていないのですが、1つ言えるのは、外の世界を知っているということだと思います。同業他社での経験を踏まえ、自分なりに運用会社間での比較ができるので、実践できるかは別として”いいとこどり”をしていける可能性があると思っています。
長年資産運用業界に身を置いてきた中で、自分が実行してきたことや考えてきたことを、当社で実現しようと思っているだけなので、外部から来たという意識は自分の中には全くありません。
当社はそもそも様々な企業から中途入社してくる方が多いですしね。社員も外から来たとか、中にいたとかは全く関係ありません。私自身は、社長としてやることは、どこの運用会社にいても同じだと考えています。
――社長に就任されてから、最初にどのようなことに取り組まれましたか。
運用部門の組織改革を行いました。運用会社に最も必要なことは運用力、そして、お客さまに受け入れられるパフォーマンスを提供することだと思いますので、まずはそのための環境が無ければならないということで実行しました。結果として見えるようになるためにはまだ時間がかかるとは思いますが、そこは運用部門が引き続き対応してくれると思っています。
営業については、新しいファンドをどんどん作っていくようなやり方ではなく、実績ある既存商品の再プロモーションやアフターフォローに注力しました。運用会社としてお客さまのニーズにしっかり応えていくためには、運用も営業も組織力が非常に重要だと思います。
コロナ禍で投資家や販売会社の皆さまとどうやってコミュニケーションを図っていくかということについては苦労しましたが、Webでのミーティング・セミナーの実施やデジタルマーケティングを活用したコンテンツ配信等、社員の皆さんが工夫してよくやってくれたなと思います。
今後もそんなに簡単にはこの状況は変化しないと思うので、環境に合わせて迅速に対応していくことは常にやっていかなければならないと思っています。
世界的にみると日本の運用会社はまだまだ歴史が浅い
――当社をどのようにしていきたいとお考えでしょうか。
100年200年続く会社にしていきたいと思っています。会社が続いていくために何が最も必要かというと、根底に流れるポリシーが必要だと思っていて、可変でありながらも一本筋が通ったようなポリシーを作っていきたいと思っています。そういう運用会社であればお客さまとの長期に渡る信頼関係を築くことができ、会社としても長く続くと思っています。
――猿田さんの目から見て、日本の運用会社にはそのようなポリシーがありますか。
世界的にみると日本の運用会社はまだまだ歴史が浅いので、会社としてという意味ではまだまだこれからだと思います。エジンバラには200年続いている運用会社もありますが、当社はまだ30年もたっていない状況です。日本の運用会社はまだまだ赤ん坊ですが、やり方次第で大きく成長できるとも思っています。
――ちなみに当社の軸とは何でしょうか。
当社はアクティブ運用を強みとする会社であり、それが軸だと考えています。
――資産運用会社としては、社会においてどのような役割を担うべきとお考えでしょうか。
役割としては、1つは投資家の皆さまの資産形成に貢献すること。そうすれば経営理念にも掲げているお客さまの「QOL」の向上につながっていき、それこそが運用会社の社会的使命だと思います。
もう1つは投資先(投資対象)にクオリティを求めること。資産運用業界は投資先にクオリティを求めることで、直接的にマーケットをより良くすることができると考えられます。その面でも我々としては社会的に重要な役割を担っています。
資産運用業界が発展していくためには、公募投信のマーケットが大きくなっていくかどうかにかかっている
――資産運用業界全体としての現状や課題をどのようにお考えか、教えてください。
これから資産運用業界が発展していくためには、公募投信(個人向けの投資信託)のマーケットが大きくなっていくかどうかにかかっていると考えています。
年金を含む機関投資家のマーケットが今以上に大きくなるかというと、そういう展望は残念ながらなかなか描きづらいです。その中で、個人投資家の資産形成という観点から見て、公募投信のマーケットが大きくなるかどうかが業界の浮沈にもかかわると思いますが、私としてはこのマーケットが大きくならないわけがないとも思っています。
――課題としては、その公募投信のマーケットがまだまだ小さいということでしょうか。
そうですね。世界各国の家計の内訳を見ても、こんなに投資への割合が小さいのは日本だけなんですよね。それだけ考えてみても、公募投信のマーケットの潜在力はこんなものではなく、まだまだ大きくなるはずなんですよ。
日本の資産運用業界はここからだ
――最後に資産運用業界の今後についてお聞かせください。
日本の資産運用業界はここからが面白いと思います。
例えば僕自身が運用をはじめたのは、1988年のバブルの走りだった頃で、日経平均株価が4万円近くまでいきました。その時期って自分の周りはみんな投資家だったんですよ。株式投資をやってない人は、なんでやってないのと言われるくらいの状況でした。
そこからバブルが崩壊して、マーケットがどんどん下がることによって、多くの人が投資から離れていきました。そういうこともあってなかなか日本人は成功体験を積めずにここまで来てしまったと思います。
一方で、アメリカのマーケットは日本と違って、何度か調整局面を迎えながらも総じて右肩上がり。マーケットに投資をしていれば何とかなると思えたアメリカ人と、投資したら損をすると思ってしまった日本人で大きな差がついてしまったと思います。
ただ、日本のマーケットも2008年のリーマンショック以降は成功体験を積んできた人が徐々に増えてきているはずです。その成功体験を基に、資産運用業界全体で投資家の皆さまの資産形成に寄り添ったサポートができれば、この業界はもっと大きくなると思います。なのでまさにここからですね。
――猿田さん、ありがとうございました!
猿田 隆
1984年 慶応大学商学部卒、住友信託銀行(現三井住友信託銀行)入社。2014年野村アセットマネジメント執行役専務。2019年三井住友DSアセットマネジメント副社長。2020年4月より現職。秋田県出身。
◎運用会社社長の資産形成インタビューはこちら✨
https://note.smd-am.co.jp/n/n6f4ec83664f6