いまこそ、日本株アクティブファンドの理由 ファンドマネージャー 部奈 和洋/国際営業部 徐 峰
当社社員のアクティブな挑戦を紹介するマガジン「Be Active.」。
今回からシーズン2の連載がスタートします。
記念すべき第一回は、日本バリュー株運用を行う部奈ファンドマネージャーと、グローバルな金融ビジネスキャリアを持つ国際営業部 徐アジアチーム長にフォーカス。日本企業の変化について、それぞれが感じていることや運用を通した新たな挑戦について語り合いました。
日本企業の変化、「安定」経営から「成長」経営へ
-部奈 前回の記事で、「日本企業の経営陣には変化が求められていて、良質な企業はすでに変化し始めている」とお話ししましたが、その動きは今後も続いていくと思っています。まず、世の中の投資家がROE(自己資本利益率)を重要視しはじめたことがポイントだと思います。
ひと昔前の日本の企業は「安定」を重視し、潰れない経営を目指してきました。しかしこれからは、リスクを取って「成長」する企業を目指さないとインフレに負けて淘汰されてしまいます。
-徐 いまの日本企業はまさに過渡期ですね。きっかけのひとつは輸入価格の上昇ですが、徐々に価格転嫁をしており「インフレが今度こそ日本に定着するのでは」という期待を海外投資家もしています。
おっしゃるとおり、デフレの中、保守的な経営で現状維持していた企業は「変化」をしないと淘汰される状況になったと深く感じます。良質な企業をどのように見つけて投資するか、やはり運用者として重要な使命ですね。
目先ではなく、持続的な価値を見極めること
-部奈 使命。そうですね。私が運用するうえで大切にしているのは「良いと思った企業しか買わない」ことです。どの企業がちゃんと変わろうとしているのかを見極めることに集中しています。今までの経営を変えたからといって一朝一夕にビジネスの利益率が良くなることはなく、コツコツ企業価値を上げる努力をずっとしてきた企業が持続して成長すると思っています。
逆に、目先の業績が好調でも良いと思わない企業は買いません。そこは企業の開示資料だけでは測れない部分もあるので、足を使って実際に見て聞くことを大切にしています。
-徐 投資スパンとして、短期的な「投機」と中長期的な「投資」に分けられますが、われわれが重要視するのが中長期の投資運用。企業の真の価値は短期的な業績ではなく、長期視点での持続可能な成長にあると信じています。実際、海外投資家、特に年金やソブリンウェルスファンドなどの国家の資金を運用する機関投資家も、中長期目線をもっています。
短期の外部環境などのノイズに影響されず、企業がどのように変革し、持続的に価値を創造しているのかを見極めることが重要ですね。そのためには、経営陣のビジョンや戦略、実際の行動を深く理解することが求められます。
部奈さんのように、実際に企業を取材・訪問し、経営陣や従業員と直接対話することは非常に有益だと思いますね。
-部奈 そこは個人投資家ではなかなかできないことだと思うので、ファンドマネージャーとして使命感を持ってやっています。
「ファンドマネージャーが行く!」もぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
新たな挑戦、海外投資家へも価値を提供したい
-部奈 日本の企業はまだ変わりはじめたばかりですが、ヨーロッパやアジアなどの海外投資家から当社への問い合わせが着実に増えてきています。
日本株への注目度の高まりは持続していると感じていますので、これまで培った独自のAIスコアリングデータを活用しながら、今後は国内のみならず海外の投資家に向けて新たな価値を提供できたら嬉しいですね。
-徐 先日、部奈さんが運用するPBR-ROEモデルのファンドにおいて、その類似戦略となるUCITSファンドとしてファンドビークル(資産と投資家を結ぶ機能を担う組織体)を立ち上げましたね。今後ヨーロッパ、アジアを中心に提供していくことになりますが、ニッチな中小型バリュー株が、ユニークなポジションニングを訴求できると同時に、卓越したトラックレコードがあるので投資家から注目を浴びると思います。
3,000以上の銘柄を持つ日本の中小型株のなかで、持続的に成長し、企業価値を上げられる企業を見極めて投資するので、世界の投資家の皆さまに価値を提供できる運用を期待しています。
-部奈 もちろん、既に運用しているファンドも今まで通りいっさい手を抜かず、新しい挑戦をしていくことになります。自分なりの信念は持ち続けたいです。
アクティブファンド、投資経験者にこそ伝えたい魅力
-部奈 一方で、日本ではNISA制度や金融教育などもあり、資産運用への注目は高まっていると感じますが、いま投資信託を買う方の多くは海外インデックスファンドばかりで、日本株やアクティブファンドへの関心はあまりないですよね・・・。
たしかにインデックスファンドは手数料が安いですし、市場に沿った動きで分かりやすいという点で始めやすいのが魅力です。
ただ、アクティブファンドは市場が効率的でないときや、特定のセクターが急成長するときにもリスクを管理しながらリターンを出すことを目指しています。市場の変化をチャンスと捉え、期待できる銘柄をわれわれファンドマネージャーが選定しています。既にインデックスファンドを持っている方にこそ、アクティブファンドの魅力を伝えられるように頑張りたいですね。
-徐 インフレ時代に突入すると多少預金も利息が付きますが、私たちがお金の不安を感じずに、よりよい生活、よりよい老後を送るためには投資に一歩踏み出すことが必要だと考えます。「貯蓄」から「投資」という流れを促進する意味が多いと感じるし、貢献もしたいです。
現時点だとインデックスファンドが人気ですが、私はアクティブファンドにより大きな価値があると信じています。それは前述の「変化」ともつながるものですが、インデックスファンドは市場の全体を意味しているので、変化に対応しきれていない企業に影響される部分もあります。頑張っている良い企業に投資することがますます重要となるなか、ファンドマネージャーが「選別」するアクティブファンドこそが、投資の真骨頂だと感じます。
投資家の皆さまへメッセージ
-部奈 アクティブファンドのなかでも私の専門であるバリュー株への投資は、短期的な利益追求だけでなく、長期的な資産形成にも非常に有効です。過小評価されている企業の真の価値を見つけ出し、将来の成長を見据えた投資をしています。
日本はバリュー銘柄の宝庫です。このバリュー銘柄の変化を投資家の皆さまにも感じていただけると嬉しいです。
-徐 日本株は世界の株にくらべ割安だと感じます。直近の数年間は大型株優位で、中小型株はそのなかでも比較的に割安で、さらに中小型バリュー株が割安の状態で・・・。そのなかに宝物がいっぱい潜んでいます。ただ、銘柄数が多い、アナリストのカバーレージが少ない、選別が難しいところでもあります。ぜひ、部奈さんの運用能力で真に価値のある商品を提供していきましょう!
Be Active.
プロフィール