「投資信託はどのように作られているの?」担当社員に聞きました
投資信託がどんなきっかけで企画され、皆さまが購入できるようになるまでにどのような準備が行われているのかなどについて、弊社商品戦略部の社員にインタビューしました!
企画段階から様々な部署と連携して投資信託の枠組みを作る
――まずは具体的な業務内容を教えてください。
新しい投資信託の開発や運用手法の選定、投資信託に関する法令・制度の調査等、一言では言えないくらい、幅広い業務を行っています。
――新しい投資信託の立ち上げにも関わっているかと思いますが、企画段階から運用開始に至るまで、どのように進められるのでしょうか?
最初の企画段階では、当社の既存の運用手法や外部の運用会社より提案を受けたプロダクトなどから、個人投資家からのニーズが見込めそうなコンセプトを考えます。また、銀行や証券会社など(以下、販売会社)や社内の営業部門、運用部門などからも新たな運用手法やコンセプトの提案をもらうこともあります。
それらのコンセプトについて、運用内容の精査や運用成績(パフォーマンス)の検証などを行い、販売会社に提案します。それが販売会社や個人投資家のニーズと合致したら、運用を開始するための本格的な準備に入っていきます。
準備段階においては、どういうスケジュールで進めるべきか、法的に何を確認しておくべきか、必要な情報は何か、対象となる資産へ投資する際にはどんな準備が必要なのか、といった事務的整備をしっかり行います。社内はもちろん、投資信託のお金を管理する受託銀行(信託銀行)などの関係者にも確認を取りながら、投資信託の枠組みを作っていきます。
――新しい投資信託の立ち上げの際、気を付けていることはありますか?
できること、やるべきことをしっかりやるという事ですね。社内外の様々な部署と関わり調整をしていく業務なので、私たちがしっかりリードしていく気持ちで取り組まないと、全員の意識を同じ方向に向けていくことができないと考えています。
業界に先駆けてSDGsに関わる商品を立ち上げる
――これまで関わった思い入れのある投資信託の誕生秘話をお聞きしたいです。
1つ挙げるとしたら「世界インパクト投資ファンド(愛称:Better World)」ですね。
世界インパクト投資ファンド(愛称:Better World)
https://www.daiwasbi.co.jp/fund/point/1926/index.html
主に世界の株式の中から社会的な課題の解決にあたる革新的な技術やビジネスモデルを有する企業に実質的に投資を行う投資信託。
この投資信託は、投資を通じて社会的な課題の解決に貢献するというコンセプトの商品です。世の中のためになるものを金融商品で実現するということに、非常にやりがいを感じました。
その商品の理念に自分がすごく賛同できて、それをお客さまにお届けできるということは素直に嬉しいです。自分が胸を張って人におすすめできる商品ですね。
仕組みとしては単純に株式に投資するだけに見えますが、実は、日本の投資信託としては初めて投資する国もあって、その国に投資をするための手続きだとか、準備段階において結構苦労しました。
――この投資信託、最初はどういう経緯で商品化しようという流れになったんですか?
この投資信託の運用委託先であるウェリントン社が、もともとは自社の資金でこのコンセプトの運用を行っていたんです。その運用手法に注目していた中で、販売会社のニーズと合致して商品化につながったという経緯です。世界中の良い運用手法に目をつけておいて、商品化に結びつけられたという良い例だった気がします。
――今でこそSDGsはよく聞く言葉になりましたが、設定当時(2016年)はまだ認知されていなくて、話題を先取りした投資信託だったかなと思います。なにか意識していたことはありますか?
当時はSDGsの概念がほとんど認知されていなかったのもあって、この投資信託を購入するお客さまはなかなか増えませんでした。今やっとその概念が世間に浸透してきて、この投資信託もたくさんの方に購入してもらえるようになったので、非常に感慨深いです。
もともと金融商品って、どうしても運用収益を得るためのツールという概念が強いですが、この投資信託は社会貢献性の概念が強い投資信託です。「運用収益を得ること」と「社会的な課題の解決」を本当に両立できるのか?いう考えもあるかもしれません。でもこの投資信託はそれができる希少な商品だと思っています。
日本の投資信託で初めてボツワナ共和国に投資する
――この投資信託は日本で初めて投資する国があったとのことでしたが、具体的にどんな対応を行ったのでしょうか。
日本で初めて、ボツワナ共和国への投資をするということで、様々な事務的手続きを行いました。
まず、法規制的に投資できるのかどうか、日本から投資することが可能なのか、ボツワナ共和国が海外からの投資を受け入れているのか、お金のやりとりが滞りなくできるのか、それを日本の規制当局が許可しているのか等、確認事項がたくさんありました。
また、日本初ということで、受託銀行が対応可能なのかどうか、あとは税金なども課題としてよく上がります。そうやって確認事項を1つずつ地道につぶしていきます。せっかく運用開始したのに、投資信託の仕組みの部分が不十分で運用できませんでしたってことは決してあってはならないことなので、最善の注意を払って確認したという思い出がありますね。
――投資信託を作る舞台裏では、非常に複雑な調整がされているんですね。
はい、ですので投資信託は一人の力で作れるものではありません。運用や営業だけでなく、レポーティングやコンプライアンスなど、いろんな部署が連携して、投資信託が出来上がっているんだなと改めて感じますね。
――今後の抱負や目標を教えてください!
これまでと変わらず、私たちの仕事は良い運用商品とお客さまを結びつけることだと思うので、そこにこだわって意味のある存在でありたいです。
また、個人的には新しい仕組みの商品をどんどん任せてもらえるようになりたいですね。これまでとは違った運用手法の投資信託も増えているので、仕組みづくりもどんどん定型的ではなくなってきている印象があります。このような変化に知識的にも対応していかなければならないなと思っています。
――松永さん、ありがとうございました!
松永 拓真
投資信託の商品戦略業務に10年以上携わり、社内外の様々な部署と関わりながら、新しい投資信託の企画や立ち上げ、既存の投資信託のブラッシュアップ等を行っている。