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「信頼に足るような人たち・会社だと思ってもらえるように」運用会社の顔となるセミナー講師の想い

略歴
森田 浩之
1985年日興証券入社、その後シノピア・アセットマネジメント(現HSBCアセットマネジメント)でチーフ・セールス&マーケティング オフィサー、ラッセル・インベストメントでリスクマネジメント部門 アジア・パシフィック地区ディレクターなどを経て、2016年4月から三井住友アセットマネジメント(現 三井住友DSアセットマネジメント)で顧客向け投資セミナーの講師並びに販売会社向け勉強会の講師を務めている。

外資系アセマネと日系アセマネ、両社での経験

―これまでの経歴と、現在のお仕事内容について教えてください。

大学卒業後、1985年に旧日興証券に入社しました。入社してから2年間は個人営業を行い、3年目の時にトレーディング室という金融法人の株式営業をする部署に移り1年間業務をしました。その後、外資系証券会社などを経て、シノピア・アセットマネジメント(現HSBCアセットマネジメント)という外資系の運用会社に転職し、10年ほど営業とマーケティングの責任者を務めておりました。続いて、アメリカのラッセル・インベストメントという世界最大の金融コンサルタント会社にて、海外籍ファンドの商品開発と、当時、運用会社では新しい分野であったリスクマネジメントのアジア・パシフィック地区のディレクターを経験しました。そして、一度起業しましたが、2016年に旧三井住友アセットマネジメントに入社し、現在はセミナー講師のお仕事をしております。

―外資系のアセマネでの経歴が長いと思いますが、日系のアセマネとどのような違いがありますか?

基本的に運営方法が違うと思います。一番大きな違いは、外資の場合は職種で採用していくので、その部門の専門家が集まっています。日本の会社は人事異動で部署を異動しながら適性を見ていくので、その点は異なると感じました。外資だと「営業一筋何十年」という方がほとんどでした。

―現在の講師のお仕事は、主にどんな方向けで、どんな内容で実施されることが多いですか?

当社のファンドを販売している銀行や証券会社の販売員の方、また、一般投資家の方に向けて、経済情勢の説明や当社のファンドを紹介します。

―セミナー登壇した際に意識していることを教えてください。

講演する相手方は、販売員、または個人投資家です。販売員向けには、販売員の方が実際にお客さまへ説明するときのために、専門的な知識も含めてお話しします。一方で、個人投資家の方には、なるべくかみ砕いてゆっくりお話すること、語尾をしっかり発音する、笑顔、この三点を心がけています。ファンドの運用についての技術的な部分も、自分で調べてかみ砕き、表現や説明を行うことを意識して行っています。

―現在の業務で面白い点、難しい点を教えてください。

勉強会にしろ、セミナーにしろ、事前にスクリプトを考えてお話をするのですが、最後にお話しし終わった後にお客様の表情やしぐさで納得してもらえたことがわかると、ほのかな幸福感があります。
 
一方で、我々の商売は、形の無いものを売っていて、常に変動するものを扱っているので、当社の予想が常に当たるわけでもないです。なので、言葉遣いに非常に気を使っており、難しいなと思います。納得していただけるようにお話ししていますが、「絶対そうだ」とは言い切れないこともあるので、お客さまに勘違いされないように、一つの可能性だということを理解してもらったうえで納得してもらえる話し方を心がけるのは難しい点ですね。
 

年金基金でヘッジ外債採用に向けた大仕事

―今までのキャリアの中で印象に残っていることを教えてください。

外資系運用会社に勤めていた頃の話です。当時は投資顧問と投資信託の営業を行っており、銀行や証券会社向けに加え、年金営業なども含めてすべて経験しました。
1990年代後半、当時制定されていた年金基金運用には規制ルールが撤廃されることになりました。当時は安全資産の典型的な例は日本国債だったのですが、日本国債が簿価ではなく時価評価されることになり、「代替資産を探さなくては」ということで、年金基金は困っていました。
 
日本国債の代わりに、ヘッジ外債が有効なのではということで、年金基金に営業を行いました。しかし、ヘッジ外債というのは、年金基金で導入の実績がなかったので、制度的な面でハードルがありました。当時の大蔵省と厚生省に何度も何度も通って、可能な方法を模索し続け、1年くらいかかりOKをもらえました。しかし、その後ヘッジ外債とはいってもなかなか理解してもらうのは難しく営業活動に苦戦をしましたが、当時の住友銀行厚生年金基金とさくら銀行厚生年金基金が初めて採用してくれたことを転機に急激にヘッジ外債が普及していきました。この2行から年金基金運用を受託できたことで、以降私はこの業界で活躍できたと今でも感じております。
 
当時はこの2大都市銀行が合併するなんで予想していなかったのですが、何かの縁で現在、三井住友グループで働いています。非常にささやかで微力ですが、三井住友銀行に恩返しできているかな、そんな気持ちで働いています。
 

―一日の業務の流れを教えてください。

勉強会やセミナーの開催時は、2営業日前にセミナーや勉強会を実施する銀行や証券会社に、資料が到着しているかどうかを確認して当日を迎えます。セミナーや勉強会がない日はファンドの中身をブラッシュアップ、経済動向の知識の向上などに時間を割いています。経済情勢をきちんと理解しておくということと、ファンドの基準価額を常にサイトでチェックして把握しておくことは、必ずやっておかなくてはならないことです。
 
月によって変動はありますが、週に4日くらいは勉強会やセミナーを行います。マーケット環境によって、セミナーの回数は変動しますが、今のようにマーケット環境が不調だと、今後について知りたいという方が多いので、セミナーや勉強会が増えます。そういったマーケット情勢が大きく変わるときは、セミナーや勉強会の依頼が増えます。また、営業施策で、例えば、「今期はこのファンドをプロモーションしよう」と営業の方針が出てくるとそれに応じてセミナーや勉強会の数が変動します。なので、営業要員とマーケット要因で、セミナーや勉強会の数は変動します。
 

信頼に足るような人たち・会社だと思ってもらえるように

―仕事をする中で大切にしていることは何ですか

経済情勢の変化を正確に把握すること、ファンドについて完璧に理解しておくというのがまず一番大事なことだと思っています。ファンドの投資対象にはいろんな業界や会社があります。かなり技術的で難しいですが、そこもしっかり調べて、お客さまから質問が来るであろうことは調べておいて、難しい専門用語は省いて、お客さまが腑に落ちるように、かみ砕いてわかりやすく伝えることが大事だと思っています。また、我々は会社の顔のような、我々を通じて当社のイメージを醸成することもあると思うので、信頼に足るような人たち・会社だと思ってもらえるように清潔感を出すこと、礼儀正しく振舞うことを、気を付けています。

―ファンド情報についてキャッチアップするためにどのようなことをしていますか。

基本は社内の勉強会や、ファンドマネージャーからのフィードバックから情報収集していますが、それだけではなく、競合他社のファンドがどうなっているか、他社のアナリストはどんなことを発信しているのか、世界の潮流がどうなっているのかも含めて把握する必要があります。セミナーや勉強会は事前に想定していない質問も出てきます。その時に詰まってしまうと聞き手に大丈夫かなと思われてしまうので、いろんなところに網を張って、いろんな情報を得るようにしています。
 

―今の業務を通じて伝えたいことはありますか。

資産運用は金融資産全体を俯瞰してやることが大事だと思っています。お客さま一人一人が、自分の人生設計に合った、資産配分の比率を見つけて、見つけるのは難しいのですが、それを販売員にも相談したりしながら、自分に合った資産配分の比率を見つけて資産運用をすることが大切だと思っています。
 
もう一つは、資産形成って時間を味方につけることが大事だと思います。なるべく若い時期に資産形成を開始すること。我々は投資信託を案内しておりますが、保険商品も含めて自分に何が必要かを考えることが大事だと思っています。このリターンそのものはやってみないと分からないですが、極端に高いリターンは必要ないと思っています。やはり投資期間が長ければ長いほどリスクは取れるのですが、高いリターンを目指して運用するのではなく、そこそこのリターンで十分だという考え方を持つことが大事だと思います。例えばリタイアした後のお客さまが我々の主なお客様なのですが、リタイアした後の運用という意味では、やっぱりあんまりリスクをとった運用はお勧めできないなと思います。
 
お金の目減り、いわゆるインフレでの目減りの部分をカバーする、そういう考え方でリタイア後は運用したほうがいいと思います。よく老後の必要資金で月30数万必要だということも言われていますが、それはそれで一つ把握しておいてもいいと思いますが、生活レベルを基にお金を工面するのではなく、今あるお金に生活スタイルを合わせるほうが大事なのではないかと思います。
 
若い人はなるべく早く資産運用を始めることを勧めます。例えば30年の期間があれば、十分な資産ができると思います。いくら人生が長くなっても十分賄える金融資産を作れる可能性が30年くらいあれば十分あると思うので、若い方は早く始めていただきたいですね。

―森田さん、ありがとうございました!

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