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ファンドアナリスト篠田尚子氏が解説「本当によい投資信託とその選び方」~その1~

国内の投資信託は6,000本超あり、「どの投資信託を選べばよいか分からない」という方も多いのではないでしょうか。今回はファンドアナリストの篠田尚子氏に本当に良い投資信託を見極めるポイントをお話しいただきました。※11/16開催のセミナーを記事化したものです。

講師
楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト 篠田 尚子氏

インデックス型、アクティブ型、バランス型、それぞれのファンドの特徴

押さえておきたいファンドの運用形態を3種類お伝えします。

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まず、インデックス型は、言ってしまえば平均点を取りに行く運用方法で、日経平均株価やTOPIX等の指数に連動するように設計された投資信託のことです。レストランで例えるなら、全国どこでも同じ味を提供するチェーン店といったところでしょうか。

一方で2つ目はアクティブ型。運用担当者が投資先の選定を行い、指数よりも高いリターン・低いリスクを目指す投資信託です。例えるならシェフが腕を振るうこだわりのビストロですね。

3つ目はバランス型ですね。チェーン店とこだわりのビストロに対して、こちらはシェフのおまかせコースやワンプレートランチ、フードコートみたいなものです。これ1つだけで商品が完結するような投資信託になります。

例えばの話ですが、皆さまも家族や友人と食事に行くときは、いつものチェーン店ではなく、こだわりのお店を選ぶこともありますよね。投資信託も同じです。インデックス型とアクティブ型はどっちを選ぶべきか、どちらが良いかというような論調がメディアの記事には多いですが、どちらが良い悪いではなくて、投資家がどう使い分けるか?これがポイントです。資金の性格や今後どうしたいかによって使い分ける。まずはここを押さえておいてください。

アクティブファンドを選ぶ際の最大のポイントは「目的」

インデックスよりもより高いリターンを追求したい、あるいは、インデックスや市場平均よりもリスクを抑えたい場合は、アクティブファンドを選んでいただいた方がよいです。

アクティブという英単語を聴くと「積極的」「能動的」などのイメージが浮かぶ方が多いと思いますが、アクティブファンドのアクティブという単語は、どちらかというと「柔軟性」という意味合いが強いです。

繰り返しになりますが、資金の性格や今後どうしたいかによって、アクティブファンドに投資するかどうかを判断するのがよいと思います。もちろん0か100かではなくて、部分的にアクティブファンドを取り入れてもよいですね。

このように、アクティブファンドを選ぶ際の最大のポイントは目的です。

ファンドアナリストが投資信託を分析する際の着眼点

ここからは、ファンドアナリストがどのような視点でアクティブファンドを見ているのかご紹介します。私は長期にわたりアクティブファンドを分析し、様々なメディアで継続的におすすめファンド等の情報を発信してきましたが、いつも下図のような視点・手順でファンドの分析を行っています。

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ポイントは見る順番です。全てのデータを一気に見ることは難しいので、ある程度優先順位をつけてデータを見ています。

まず優先項目①「リターン」「シャープレシオ」「各種ファンドスコア」これが1番重要なポイントです。これまでの運用実績が悪かった投資信託の成績がいきなり好転するということはほとんどないといっていいでしょう。なので、過去の傾向や実績はとても重視しています。

続いて優先項目②として、償還までの年数や残高の規模、運用年数等を見ていきます。投資信託を選ぶ時の基準として、優先項目②で挙げた項目を目安にしましょうという論調もありますが、これをスクリーニングする上での最初の条件にしてしまうと、1番肝心な「リターン」をあげているファンドが埋もれてしまうこともあります。ですから、あくまでもその償還までの年数や規模、運用年数はリターンを見たうえでの次のステップとして見るようにしています。

次に定性情報です。これは実際に運用会社にヒアリングを行い、運用会社のガバナンスや運用体制、どういう風に人材を育成しているか、さらには情報開示姿勢等、こうしたところは定性的な情報として直接取材をしています。

アクティブファンドを選ぶときは「コストだけで判断しない」「大負けしないファンドに注目」

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アクティブファンドを選ぶときに押さえたいポイントは2つです。1つは最初からコストだけで判断しないこと。

ファンドのリターンは信託報酬控除後の値です。つまり、皆さんがよく見るファンドの実績は、すでに信託報酬を加味した状態の数字です。信託報酬の値だけを見て「手数料が高いから良くない」と判断される方もいますが、実績としてリターンが出ているのであれば、コストが高いことを理由にそのファンドが「悪い」とは言えないはずです。

私自身、リターンを確認した後に参考程度に信託報酬を確認することはありますが、最初から信託報酬でスクリーニングを行うようなことはありません。信託報酬が類似の商品と比べて明らかに高いというようなことがあれば運用会社に質問をすることもありますが、ファンドの良し悪しを即座に判断できる基準ではないということです。

そして2つ目は、大負けしない投資信託に注目するということです。「良いファンド」と聞くと、多くの方が「高いリターンをあげているファンド」をイメージすると思いますが、現実は少し異なります。

少し厳しい言い方をすれば、相場が良い時にリターンをあげられるのは当たり前。マーケットの状況があまり良くない時にきちんと持ちこたえられるファンドかどうか、これが重要です。ファンドの良し悪しを判断するときは、大きく下がった時、そして下がった後の投資判断、さらに、その後の運用経過にも是非着目していただきたいと思います。

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