ファンドマネージャーが行く!Part10(SCREENホールディングス編) ~FM 視点の現地調査レポート~
第10回「ファンドマネージャーが行く!」では、ファンドマネージャーに同行する形で「株式会社SCREENホールディングス(以下、SCREEN) 彦根事業所」での工場見学の様子をレポートします。
2024年1月に新設された製造棟S3-5(エス・キューブ ファイブ)を含む、S3-1~5の5つの連結した製造棟を有し、同社の主力工場である彦根事業所を訪問させていただきました。
企業訪問を行うのは、弊社、三井住友DSアセットマネジメントの運用部に所属する部奈、尾形、アロエです。
会議室にて
はじめに、同社について説明をしていただきました。
同社が主に製造しているのは半導体製造の過程で発生する微細なゴミを取り除く"ウェーハ洗浄装置"であり、世界トップシェア(出所:2024年10月時点の同社HP)を誇っています。
ちなみに洗浄する方法には、ウェーハを1度に複数枚処理するバッチ式と1枚ずつ処理する枚葉式の2つがあります。イメージですが、簡単に言うと「バッチ式は処理槽内の薬液に浸漬して洗浄する温泉に浸かるイメージで、枚葉式は1枚ずつ薬液を散布して洗浄するシャワーをするイメージ」だそうです。
ここ彦根事業所ではウェーハ洗浄装置のほとんどを作っており、製品別では同社主力の枚葉式洗浄装置が約8割を占めるそうです。
半導体デバイスの微細化に伴い、より精密に洗浄できる枚葉式の割合が高くなったそうです。
では、さっそく工場の内部を見学!
まずは24年1月に新設された製造棟S3-5を見学させていただきました!
2019年に稼働開始した自動化工場S3-3の製造ラインは、天井にモジュールやパーツの自動搬送システムが設置されており、決まったルートしか搬送することができませんでしたが、ここS3-5では自動搬送ロボット(AGV)が床を走行するシステムにしており、今後の製造体制の変化にも柔軟に対応できる様になっていました。巨大なお掃除ロボットのような形をしたAGVが、指示に従い自律走行して、様々な物を搬送しているところを見る事が出来ました。
質疑応答
質疑応答の際、一同は「効率化」に焦点を置いて質問していました。
実際、同社は現在効率化を進めています。
例えば...
・新工場による生産の効率化
・デジタルワークブース(プロジェクトマッピング)を使った作業指示で効率化
・部品仕分けの自動化や、コンポーネントの組み立て機能の強化
・組立て工数の削減
運用部の視点👀
部奈
新たに稼働した工場も見させていただきましたが、効率性を求める姿が印象的でした。
製造工程を見える化し、また、新工場ではより柔軟性の高い機械を使用することで技術革新のスピードが速い半導体業界で生き抜く同社のサバイバル力を実感することができました。
尾形
生産オペレーションにおける同社の競争優位性を確認できたことが今回の見学のポイントでした。改善前と比べて数倍もアウトプットを行っている点は驚きでした。この改善を支える複数の自動搬送システムを部分部分で使い分けるなど同社の生産性への意識の高さが伺えました。
アロエ
装置組み立てや機能検査の自動化、顧客の需要動向、技術変化に合わせたフレキシブルなレイアウトなど同社の徹底的な生産性改善への高い意識が垣間見える見学会でした。また、顧客ごとに異なる洗浄装置の精密さなど同社の高い技術力を再確認できました。
おわりに
今回はファンドマネージャーの取材に同行して「SCREENホールディングス 彦根事業所」の様子をお届けしました。
アクティブファンドの運用担当者は今回のように企業訪問を通して企業を調査することも多いのですが、実際に訪問してみてその企業の良さを再認識することもあれば、思いがけない良さに気付くこともあります。
工場見学中、一同は熱心に質問するだけでなく、運用者の立場から「~した方がいいのではありませんか?」といった疑問も投げかけていました。そしてそれらひとつひとつに担当者の方々も真摯に受け答えをされていました。企業と投資家の”対話”を目の当たりにし、私自身も勉強になりました。
最後になりましたが事業所見学・取材をご快諾いただいたSCREENホールディングス様にこの場を借りて感謝申し上げます。
それでは今回の「ファンドマネージャーが行く!」は以上とさせていただきます。
ご覧いただきありがとうございました。
次回以降のシリーズもぜひご期待ください。
番外編~彦根城~
終業後、帰りの車内では何やら部奈がそわそわ。
お城がマイブームらしく、工場見学の帰りに現存天守12城のひとつである彦根城に寄り道して帰りました。
お疲れさまでした!