「日本株より米国株の方がいい?」「投資信託の利益確定のタイミングは?」様々な疑問について、ファンドアナリストの篠田尚子さんにお聞きしました!
11/16(火)に「いいファンドの選び方とアクティブファンドの活用法」セミナーを開催しました!今回はセミナー内での質疑応答の内容をお届けします!
講師
楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト 篠田 尚子氏
三井住友DSアセットマネジメント株式会社 営業企画部 ビジネス・イノベーションチーム長 井上 武
――日本経済は成長期待が低いので、投資をするなら日本株よりも米国株がいいと聞くのですが、本当なのでしょうか?日本株の投資信託を持っているので教えてください。
篠田)市場全体の成長性に期待するのであれば米国株に投資をするという選択は確かにあると思います。では、日本株全体の成長期待が低い中、日本株でどうやってリターンを期待していけばいいのかというと、「アクティブ元年・日本株ファンド」のような、きちんと企業を見極める視点をもった投資信託を活用していくということが重要なのかなと思います。まずは、ご自身の保有している日本株の投資信託がどのような投資信託なのかを確認してみてください。日本株の投資信託を保有していること自体が悪いということはありません。
「米国株だから良い、日本株だから悪い」と一括りで考えるのではなく、どのようにそれぞれの投資信託を活用するかが重要ですので、「分散」と「使い分け」の2ポイントを覚えてください。
――ファンドアナリストから見た「アクティブ元年・日本株ファンド」の良さや魅力を教えてください。
篠田)このファンドの一番の魅力は「投資視点が狭すぎないこと」です。日本株の投資信託は、特定の銘柄や企業規模などのニッチなポイントに絞ってリターンが上がっているファンドが従来は多かったのですが、「アクティブ元年・日本株ファンド」は投資対象の基準を狭くせずに、「いい企業」をきちんと見極めて投資するというシンプルで原点に立ち返る運用方針が良い点だなと感じます。
よくあるテーマ型ファンドは一見わかりやすいのですが、特定のテーマに絞った投資方針が投資制約になってしまうこともあるので、アクティブファンド、かつ日本株に広く投資をして結果的にリターンを追求したいという方は、広い視野で企業を見て選別して投資しているファンドの方がおすすめです。投資対象への柔軟性は大きな魅力だと思います。
井上)まさにお話しいただいた通り、「アクティブ元年・日本株ファンド」は4人のファンドマネージャーが常に投資アイデアを考えながらその時々にベストな企業に投資していくというスタイルで運用しています。例えば直近ですと「withコロナ」という点が1つのテーマとなっていましたが、世の中の変化に合わせて新たな投資アイデアを考えながら運用しているというのが特徴です。
アクティブ元年・日本株ファンドの詳細はコチラ
https://direct.smd-am.co.jp/fund/active/
――アクティブファンドの勝率は低く、信託報酬が高いというイメージがありますが、どうでしょうか?
篠田)投資対象によって差がありますが、日本株は優良なアクティブファンドが多いので、個人的には安易にインデックスを選択するのはもったいないかなと思います。とはいえ、やはりコストが気になりアクティブファンドに興味を持てないということであれば無理に選択する必要はないです。
ただ、繰り返しにはなりますがアセットクラスによってそれぞれの特徴はありますので、その点をご理解いただいた上で「使い分け」していただくのがよい方法だと思います。
――償還までの期間が「5年」と「無期限」のファンドでは、どのような点に気を付ける必要がありますでしょうか。
篠田)「繰り上げ償還の危険性がないファンドを選ぶように」ということがポイントになると思いますが、信託期間を無期限とうたっているファンドは、インデックスファンドやつみたてNISAの対象ファンドが多い傾向にあり、大多数のファンドは信託期間を設けています。中でも信託期間を5年と設けているファンドが多いのですが、期間内に信託期間を延長することが一般的であり、必ずしも5年でファンドが終了するという訳ではありません。一方で、無期限とうたっていても、ファンドが売れず残高が増えない場合、本当に無期限で運用される訳ではなくルール上は繰り上げ償還もあり得ます。ですので、無期限だからといって安心してもいけないですし、信託期間内に必ず償還されるという訳でもありません。
償還までの年数だけでスクリーニングしてしまうと「木を見て森を見ず」状態になってしまうので、あくまでもリターン等を優先して見ていただければと思います。また、運用会社として積立を推奨して長期投資を促している投資信託は傾向として繰り上げ償還になりにくいので、どちらかというとそういったメッセージが発信されているかを中心に考えていただいた方がいいかと思います。
――親世代は個別株を持っていることが多いです。しかし、個別株よりはアクティブファンドを1つでも保有して分散投資したほうがリターンは良いということでしょうか?
篠田)個別株もアクティブ投資の一種です。ですので、例えば個別株を選ぶのが好きという方は、投資信託はインデックスファンドを積立購入して、個別株は自分で選んで運用していくのも1つの方法です。もちろん個別株とアクティブファンドを併用いただくのもいいと思います。
いずれ個別株投資にチャレンジしたいという方に対して個人的におすすめしているのは、アクティブファンドのファンドマネージャーの目利きを参考にしていただくことです。月次レポートのファンドマネージャーのコメントも読んでいただき、いずれ個別株投資する際の参考にするのもいいと思います。うまくアクティブファンドを参考にしていただくとご自身の投資スタイルの視野を広げることもできます。
(※ファンドマネージャーが銘柄を選定する際の着眼点を参考にしていただくということであり、特定の銘柄を推奨するものではありません。)
井上)投資には「これが絶対正解」ということがないので、ぜひ色んな投資をチャレンジしてみて自分のスタイルを見つけていくのがいいと個人的には思います。個別株には個別株のおもしろさもありますし、企業を応援するということであれば個別株で直接投資するというのは1つの選択肢です。個別株だとリスクが怖いという方は、アクティブファンドを是非活用してみてください。
――投資信託の利益確定のタイミングは?個別株との違いはありますか?
篠田)ここ数年マーケットの状況が良いので含み益が膨らんでいく中で「このままで大丈夫なのか?利益がしぼんでしまわないか?」と不安に思われる方が多いのではないかと思います。基本的には積立の場合はそのまま継続です。積立で出たリターンというのは膨らめば膨らむほど、その後マーケットが大きく崩れることがあっても簡単には元本を毀損することはないので、積立の場合は継続していただくのが良いかと思います。
利益確定をするのであれば、2つポイントがあります。1つ目は、「目標を決める」ということです。例えば、ある程度リターンが出たところで利益確定を繰り返す運用をするのであれば、20%を1つの基準にしていただければと思います。ただし、これには条件があります。それが2つ目のポイント、「次の投資先が決まっている」ということです。マーケットの下落を恐れての利益確定は、利益確定後にそのお金が行き場を失うことが多いんですね。これは機会損失となるので非常にもったいないです。よって、投資目標を定めて、かつ次の投資先が決まっている、この場合に利益確定をするのをおすすめします。
井上)すぐに使う予定がない資金であれば、基本的には長期で投資していただくのが、投資成果としても享受しやすくなると私も考えています。
――ESG、SDGsに関連する商品の選び方を教えてください。
篠田)ファンド名にESG、SDGsという言葉が入っている商品と入っていない商品、運用の中身は似通っていてパフォーマンスの違いもあまりないのに、信託報酬は前者の方が高いといったこともあるかと思います。なぜかというと、ESG、SDGsの考え方であったり、投資信託を含む資産運用の世界でこの概念をどのように取り入れるかというのは各運用会社、国や地域によって考え方や方法が異なるためです。また「絶対にこれが正しい」というものがない概念なので、誰が見てもわかるパフォーマンスという同じ指標で評価しようとすると限界があります。ただ、運用会社単位ではESG、SDGsの考え方はどの会社でも最近は意識されているので、基本的にはアクティブファンドを選んでいる時点でESG、SDGsの考え方は自然と取り入れられていると言えるかと思います。ですので「信託報酬が高い」と躊躇されるのであれば、わざわざテーマを押し出した商品に投資をしなくてもいいかなとも思います。
井上)最近はそういった商品が増えていますが、実際にESGやSDGsがリターンに繋がるのかというのはまだわからないというのが現状だと思います。ただ、ESG、SDGsは今後当たり前の世界になると思っており、それを考えていない企業は投資対象に選ばれなくなるという世の中に徐々になってきています。そうなるとESG、SDGsを意識していない企業は将来生き残っていけなくなることになりますので、我々運用会社としては、パフォーマンスの他にもそういった視点で投資対象を見るようになってきたというのが運用業界全体の流れになっています。商品の選び方ということに関しては、ファンドのコンセプトや運用会社のESG、SDGsの取組みへ共感できるかをポイントにしてみてはいかがでしょうか。
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参加者の皆様から多くのご質問をいただき、白熱したセミナーとなりました!
後日、セミナー開催レポートの記事もアップ予定です。お楽しみに!