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投資信託を知ろう! 【運用報告書の見方】

投資信託とは、不特定多数の投資者から資金を集め、投資のプロである運用会社(投資信託委託会社)が国内外の株式や債券などに分散投資を行い、その成果を投資した金額に応じて投資者へと配分する商品とご紹介しました。

今回は実際に投資を行っている投資者の皆さんが受け取る「交付運用報告書(以下、運用報告書)」の見方や注目すべきポイントを解説していきます。
また、これから投資を始めようか考えている方にも、運用会社のHPに掲載されている運用報告書を確認することでどんなことが分かるのかも併せて解説していきます。

手元にある「運用報告書」ってどんなもの?

運用報告書は、原則として投資信託が決算を迎えるごとに作成され、投資信託を保有している投資者に交付される法定開示書類です。購入後の投資信託がどのように運用され、その結果どうなったかは、決算期ごとに作成・送付される「運用報告書」によって知ることができます。
投資信託の決算期によって異なりますが、販売会社を通じて年1回または年2回交付されますので必ず確認しましょう。

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◎決算と分配金の関係について
投資信託には会社と同じように「決算」があります。一定期間の運用結果に基づき、収益分配方針に沿って投資者へ「分配金」が支払われます(「分配金」が支払われない場合もあります)が、この一定の期間のことを「決算期」と呼び、そのタイミングで運用報告書が作成されます。
決算の回数は投資信託によって様々で、運用報告書を受け取る回数も異なります。

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「目論見書」との違いを教えて!

前回は『目論見書』についてお話をしましたが、今回は『運用報告書』となんだか似たような書類が続きますので、この2つの違いについて解説します。

まず前回のおさらいですが、『目論見書』は投資信託を購入する際に、販売会社から直接もしくは電子交付により受け取る書類です。ファンドの目的・特色、投資リスク、運用成果、手数料などファンドに関する基本的な情報が記載されています。

対して『運用報告書』には一定期間における投資信託のパフォーマンスや組入銘柄、かかったコストの内訳、今後の運用方針などが記載されています。
ここでいう一定期間とは、運用報告書を作成するタイミングと同じで、1年間又は半年(6か月間)となります。

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なお、運用報告書では年1回または年2回投資信託の状況を確認できますが、その他にも毎月運用会社HPで
月次レポートが公開されます。直近の運用実績の確認は月次レポートで、中長期の運用実績の確認は運用報告書で行うなど、期間別・目的別に活用してみましょう。

☆交付目論見書の見方
https://note.smd-am.co.jp/n/n58fbdec38dda

記載内容で特に注目すべき重要ポイント

運用報告書には、投資信託の一定期間の運用状況が書かれています。基本的に、「運用報告書」は投資信託を持っている人へ運用状況の報告をする書面ですが、投資信託の現状の詳細が書かれているため、これから投資信託を購入しようとしているみなさんにとっても、投資判断する手助けとなります。ぜひこの機会に活用してみましょう。

では今回も三井住友DS投信直販ネットの専用ファンド「アクティブ元年・日本株ファンド」を例に挙げて、実際の運用報告書で順番に確認していきましょう!

(参考) 「アクティブ元年・日本株ファンド」交付運用報告書
https://www.smd-am.co.jp/fund/pdf/180509u.pdf

特に確認すべきポイント
① 基準価額の推移/基準価額の変動要因
② 1万口当たりの費用明細
③ 投資環境について
④ ポートフォリオについて
⑤ ベンチマークとの差異
⑥ 分配金


①基準価額の推移/基準価額の変動要因

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決算期におけるファンドの基準価額の推移がグラフでわかりやすく記載されています。

ファンドの運用実績を確認するには、「分配金再投資基準価額」を見ることが重要です。分配金再投資基準価額とは、決算日に分配金を受け取らず、税引き前分配金を再投資したと仮定した場合に計算された価額のことです。アクティブ元年・日本株ファンドはこれまで分配を行っていないため、上記グラフの基準価額と分配金再投資基準価額は同じです。

また、運用報告書では基準価額の変動要因に関しても説明しています。組入れている資産や企業のどのような動きが基準価額に影響を与えたのか、を確認することができます。
基準価額の詳細を確認する場合は、最新の月次レポートで運用経過をチェックしましょう。

②1万口当たりの費用明細

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決算期における、1万口当たりの費用の内訳です。信託報酬、売買委託手数料、有価証券取引税、その他費用という構成になっています。

▶用語「信託報酬」
ファンドの運用や管理に必要な費用です。「期中の平均基準価額×信託報酬率×(経過日数/年日数)」で算出されます。
▶用語「売買委託手数料」
ファンドに組み入れられた株式や債券などの売買で発生する費用です。「期中の売買委託手数料/期中の平均受益権口数」で算出されます。
▶用語「有価証券取引税」
株式や債券などを売買した際に支払った税金です。
▶用語「その他費用」
保管費用:海外の有価証券等の保管等のために、海外の銀行等に支払う費用のことです。アクティブ元年・日本株ファンドは、海外資産への投資がないため負担額はありませんが、投資信託によっては保管費用が発生する場合があります。
監査費用:投資信託では、計理(基準価額の算定)が公正に行われているか監査するため、第三者の会計監査人による監査が義務付けられています。その会計監査のために支払われる費用です。


③投資環境について

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国内外の経済情勢などを踏まえた、マーケットの状況が記載されています。

上記の例では、国内の株式市場が値上がり傾向であったことが読み取れます。
ここでは、投資信託が影響する様々な要因(国際情勢・国内情勢・経済情勢等)により変化が現れる部分で、保有している投資信託によってもとらえ方が変わりますので、きちんと確認しておきたいポイントです。

④ポートフォリオについて

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ここではファンドのポートフォリオ(組入資産の構成)に関する情報が記載されています。
「アクティブ元年・日本株ファンド」では「アクティブ元年・日本株マザーファンド」を通じて日本株へ投資する方針でしたので、この部分でマザーファンドの状況を確認することができます。

決算期において、どのようなポートフォリオで運用されていたか、例えば株式であれば業種配分はどうだったか、個別銘柄はどのような売買を行ったか等が記載されています。


⑤ベンチマークとの差異

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ベンチマークとは、ファンドが運用の目標とする指標のことです。「アクティブ元年・日本株ファンド」ではベンチマークを設定していないものの、参考指数としてTOPIX(東証株価指数、配当込み)を設定しています。

基準価額と参考指数の騰落率(とうらくりつ)を比較すると、TOPIXが8.6%の上昇だったのに対して、当ファンドの基準価額は22.1%の上昇が見られました。ここから、参考指数を上回る実績を残している、と言えます。

▶用語「騰落率」
一定期間の始めと終わりで基準価額や参考指数がどれだけ変化したかを表す指標です。


⑦ 分配金

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この部分では1万口当たりの当期分配金額を確認することができます。
投資信託の分配金が、実際にいくら受け取れるのかを確認できる大切な部分となります。
「アクティブ元年・日本株ファンド」においては、第2期での分配はなく、複利効果による信託財産の成長を優先するために見合わせると記載されています。
このように、投資信託によっては収益分配方針の関係で分配を見合わせるケース・基準価額の上昇により分配を行うケース・逆に基準価額の下落により分配しないケース等様々です。
なぜその分配を行うのか、今後のご自身の投資方針を考えるうえでもチェックしておきたいポイントです。

ここまでが、決算期における運用の成果報告の部分となります。
次からは決算期以降の運用の方針等が記載されていますので確認しましょう。

◎今後の運用方針

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ここでは、今後の経済情勢等を踏まえてどのように運用していく方針なのかが説明されています。
「アクティブ元年・日本株ファンド」では「アクティブ元年・日本株マザーファンド」を通じて投資していくことになりますので、今後もその方針に変わりないことが確認でき、また、マザーファンドの投資方針に関しても今後の方向性が記載されていることがわかります。

この部分に関しては目論見書の「ファンドの目的・特色」と比較し、乖離が生じていないか、確認しておくのも良いと思います。

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(参考) 「アクティブ元年・日本株ファンド」交付目論見書
https://www.smd-am.co.jp/fund/pdf/180509k.pdf


◎お知らせ

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信託約款の内容などに変更があった場合に記載がありますので、確認しましょう。
投資信託の約款は、投資信託の運用会社と信託銀行(受託者)との間で締結された信託契約の条項のことで、
投資信託を運用・運営するための基本的な取り決めが規定されています。
変更には金融庁への届出が必要になるため、誰でも詳細が確認できるように開示されています。

EDINET:金融商品取引法に基づく有価証券報告書の開示書類に関する電子開示システム
https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/EKW0EZ0001.html?lgKbn=2&dflg=0&iflg=0


まとめ:毎年、運用報告書でファンドの運用状況を確認しよう!

 運用報告書はファンドの運用実績や資産状況などが記載された書類であり、現状と今後の見通し等を確認するための重要な資料です。記載されている情報をきちんと把握・理解したうえで、ご自身の運用方針との整合性を確認しましょう。


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